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「茶事」プロジェクト

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「茶事」というもてなしの形があります。
「茶事」とは招いたお客様に気持ちを伝えることだということをわたし達夫婦に鮮明な記憶として教えてくれたのが人生の大先輩でもあるKさん、そして隣県にお住まいのTさんご夫婦です。

3年前にKさんが他界されてからまもなく、骨董商を営まれていらしたTさんは「Kさんを亡くし張り合いがなくなった」とおっしゃってお店をたたまれたほどわかりあっていらしたお二人でした。

一昨年の11月、Tさんご夫婦が、ご主人を亡くし落ち込んでいたKさんの奥様とご長男、そしてわたし達夫婦を茶事に招いてくださいました。
「茶事」とはいわゆる「お茶会」ではなく、少人数のお客さんを招き、「懐石」と呼ばれる食事を出し、お濃茶、薄茶とでもてなすいわばフルコースのおもてなしです。今は食事の部分を簡単にし、お弁当を用意したりして楽しむこともありますが、Tさん、Kさんの茶事は半端じゃない!お菓子まで全て手作り・・・
初めて伺ったときはびっくり!仰天!お道具は勿論のことおもてなしの「本物」を目の当たりにして若輩者のわたし達は言葉もありませんでした。

一昨年のTさんの茶事の話に戻りますが、到着して仕度を整える「寄り付き」という部屋の床には聖観音像、そして荘子の故事「胡蝶の夢」に因む和歌が掛けてあり、2人で遊んだことが夢だったかのようだね・・・と・・・
Tさんの奥様のお召し物は色無地に黒の帯。Kさん家への弔意、そしてKさんを偲ぶ気持ちが晩秋の蔵王の景色と混ざり合いなんともいえない心の記憶となりました。

さて、そのTさんを今度はこちらでお招きしよう!ということになりようやく立ち上がったKさんの奥様の助っ人として来る4月19日に「茶事」を行います。
今年明けてから毎週のようにKさん宅にお邪魔し打ち合わせや稽古を重ね、昨日は当日の時間通りのリハ。
Kさんの思い出の品々のお道具が並べられ取り合わせはバッチリ!
しかし、今まではKさんご夫妻が二人でやってたことを奥様、ご長男(茶道未経験)が食事関係、わたし達がお点前関係、そして外回りの整備はKさんのご次男さんと5人のプロジェクトですが、家族の柱、茶事においても柱だったKさんがいない穴は大きい。5人をしても埋められないことをそれぞれが感じながら昨日のリハをへとへとになって帰宅。

要するに丸1日、Kさん宅が日本庭園付き料亭になるんです。デザートは茶室でお抹茶。板前さん、仲居さんも自前(笑)
ホスピタリティのレベルをぐ~~んとアップ・・・大変なことだぁ~

でも、実践は一番身につきます。本を読んでも、お稽古だけでも知ったつもり、実際使ってこそのもの。
また、この5人の「茶事プロジェクトチーム」はみんな不案内・・・それぞれが自分の持分を独学し責任を果たすという気持ちを持って望むこと、「一人はみんなの為に皆は一人の為に」の気持ちが成功の鍵を握っている!
このご縁をありがたく思いもうひと頑張りします!!

少し「お茶」話が続くかも・・・
by irohanihoheto_ku | 2009-04-13 12:40 | 茶道